画像提供: Biofy
ブラジルに拠点を置く Biofy は、AI を活用した感染症診断の分野で世界をリードしており、新たな治療法や研究成果を国際規模で病院へ展開することを可能にしています。このヘルステック企業は、フルゲノム DNA 解析と AI を組み合わせ、NVIDIA のアクセラレーテッド コンピューティング プラットフォーム上で動作するソフトウェア パイプラインを新たに開発しました。これにより、細菌感染症の特定と治療を迅速化し、抗生物質耐性の予測を従来の数日から数時間に短縮しています。さらに、このシステムは、薬剤耐性への対策を強化するとともに、効果の低い広域治療に伴うコスト削減にも貢献しています。
Biofy は、AI スタートアップ向けのグローバル プログラムである NVIDIA Inception のメンバーです。このプログラムでは、開発者向けの無料のトレーニングやリソース、さらには NVIDIA とエコシステム パートナーからの貴重なオファー、クラウド クレジットなどが提供されています。
Biofy
Oracle Cloud Infrastructure (OCI)
アクセラレーテッド コンピューティングのツールと手法
治療提案の迅速化
スケーラブルな AI コンピューティングにおけるコストパフォーマンス
ラボ診断精度の向上
Biofy の NVIDIA アクセラレーテッド ソリューションの導入前、病院は病原体や耐性プロファイルの特定を、培養検査や抗生物質感受性検査に依存しており、結果が出るまで約 5 日を要しました。この間、臨床医はやむを得ず広域抗生物質を処方するケースが多く、その結果、病院および患者のコストの増加、薬剤耐性の進行、さらには重症患者が病状に対して最適な治療を受けるまでの遅れにつながっていました。さらに、多くの医療機関ではゲノム解析や AI に関する専門知識が限られているため、医療チームがシーケンスデータを臨床現場で実用的な意思決定へと効果的なペースで落とし込むことが難しいという課題もありました。
Biofy の 「Abby」 プラットフォームは、OCI および NVIDIA AI インフラを基盤として、救命につながる疾患診断と個別化された抗生物質治療の提案を実現しています。
検査から治療までのリードタイムを短縮するため、Biofy は、Oracle Cloud Infrastructure (OCI) 上にクラウド ネイティブ パイプラインを実装しました。このパイプラインでは、NVIDIA により高速化されたアルゴリズムを実行して、細菌の全ゲノムを再構築し、それをベクトル化したうえで、微生物ゲノムおよび耐性マーカーの大規模なデータベースと照合します。
このプロセスに続き、Biofy のレコメンデーション エンジン 「Abby」 が、特定された耐性遺伝子を解析し、感染症ごとに最も効果的な抗生物質や治療法を提案します。 Abby の結果は臨床ワークフローにシームレスに組み込まれるため、治療方針を迅速に実行に移すことができ、時間の短縮と救命率の向上につながります。
開発プロセスにおいて、Biofy は大きなボトルネックに直面しました。高スループットなゲノム アセンブリ、数十万規模のゲノムを対象としたベクトル検索、そして大規模モデルのトレーニングには、膨大な並列計算処理が必要です。しかし、CPU だけでは、臨床現場で求められる時間内でこれらを処理することは不可能です。
BBiofy
Biofy は、NVIDIA GPU と OCI AI インフラストラクチャを組み合わせることで、高性能な AI トレーニングと推論を実現しました。これは、Oracle のデータプラットフォームとベクトルプラットフォームを緊密かつ効率的に統合することで、従来比 50% 向上した性能を最大半分のコストで実現しています。
エンドツーエンドの診断プロセスは、従来の標準的なラボ検査では 5 日間要していたのに対し、現在では約 4 時間で完了し、30 倍のスピード向上を実現しています。さらに、Biofy のソリューションは、固定された遺伝子パネルに依存するのではなく、全ゲノムと耐性パターンを解析することで、従来手法と比較して診断精度を約 95% まで高めています。
これにより、ラボの科学者や感染症専門医は、既存のワークフローに適合した迅速かつ信頼性の高い結果を得ることができ、診断の不確実性の低減と医療従事者の負担軽減につながります。
Biofy の先進的な生物学モデルは、感染症の検出および治療における継続的な変動に対応しています。Llama 3 アーキテクチャを基盤とするこのモデルは、10 万件以上の合成 DNA 配列を継続的に生成し、新たな耐性変異の出現を予測します。これにより、細菌が突然変異しても高い診断精度を維持することが可能となっています。
Biofy のシステム構築には、NVIDIA のフルスタック プラットフォームが活用されています。これには、GPU 上の大規模な DNA マトリクス演算や埋め込みを高速化する NVIDIA RAPIDS™、OCI を介した NVIDIA® CUDA® アクセラレーテッド ライブラリ、そして LLM ベースおよび独自のゲノム モデルのトレーニングとサービングを行う 32 基の H100 Tensor コア GPU が含まれています。また、RAPIDS には、大量の DNA データを処理する NVIDIA cuDF と、DNA に存在するエラーの訂正に活用される NVIDIA cuML が含まれています。
ゲノム ベクトルの保存には、Oracle AI Vector Search を備えた Oracle Autonomous AI Database が活用されており、モデル推論の高速化とコスト効率の両立を実現しています。Oracle は、Oracle Database 26ai を基盤とするベクトル検索およびインデックス構築を高速化するため、NVIDIA cuVS の評価を行っています。
この自動化された NVIDIA アクセラレーテッド AI パイプラインにより、現在のシステムは大幅に効率化され、数十万件に及ぶ細菌ゲノムと合成 DNA のバリエーションを数分で処理できるようになります。これにより、ラボチームと臨床医は、手作業での分析から解放され、患者のケアや治療計画に集中できるようになります。
「NVIDIA とのコラボレーションのおかげで、従来は数日かかっていた感染症の診断と治療提案を、わずか数時間で実現できるソリューションを開発することができました。これは、命を救うための AI 活用において、画期的なマイルストーンとなるものです。」
Paulo Perez
Biofy CEO 兼共同創業者
Biofy のソリューションが商用展開されて以来、数千件の検査が実施され、100 人以上の命が救われました。新しい症例、特にラボで細菌を特定できない症例は日々発生しています。Biofy は、数時間以内に正確な結果を提供します。
最近の症例では、脚部に深刻な感染症を患った患者が報告されました。この患者は、ラボで細菌の特定に時間を要し、手遅れになる前に治療を開始することが難しかったため、切断のリスクにさらされていました。しかし、Biofy の 「Abby」 を活用することで、数時間以内に診断を行い、最適な治療計画を開始することができ、この患者の脚と命を救うことができました。
現在、Biofy は、ゲノム プラットフォームをブラジル国内の新たな病院へと拡大するとともに、米国および世界市場へのサービス提供を見据え、米国での新会社設立の準備を進めています。 あわせて、Oracle のヘルスケア部門や、米国の複数の教育研究機関などとの提携が進められています。
また同社のチームは、既存の治療法に耐性を持つ病原体に対抗する新規抗菌ペプチドの設計を目指し、大規模なペプチド基盤モデルの構築を進めています。今後 2 年以内に、AI によって生成された画期的な治療薬の提供を目指しています。
テクノロジー進化戦略の一環として、Biofy は現在のプラットフォームを拡張し、真菌やウイルスの同定と分析にも対応していく予定です。これにより感染症における範囲を広げ、高度な AI を通じて診断精度と臨床的影響を向上させることで、世界中でより多くの命を救うという継続的な目標を掲げています。
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