NVIDIA、サイエンティフィック コンピューティング向けデジタルツイン プラットフォームを発表

物理法則に基づいた AI を実装した NVIDIA Modulus と Omniverse を組み合わせることにより、NVIDIA の Earth-2 および Siemens Gamesa の風力発電所のための物理現象のモデリングを数百万倍に向上

2022 年 3 月 22 日、カリフォルニア州サンタクララ — GTC — NVIDIA は本日、物理機械学習モデルを加速して、これまでの数百万倍の規模の科学およびエンジニアリングの問題を数千倍の速さで解決する、サイエンティフィック デジタルツインのためのプラットフォームを発表しました。

サイエンティフィック コンピューティング向けのこのアクセラレーテッド デジタルツイン プラットフォームは、物理ML ニューラル ネットワークの開発に使用される NVIDIA Modulus AI フレームワークと、NVIDIA Omniverse™ 3D 仮想世界シミュレーション プラットフォームで構成されています。

このプラットフォームは、現実世界を正確に反映するように物理法則に基づいたインタラクティブな AI シミュレーションをリアルタイムで作り出すことができ、計算流体力学などのシミュレーションを従来の方法に比べて最大 1 万倍高速に処理することが可能で、エンジニアリング シミュレーションと設計の最適なワークフローを実現します。このプラットフォームにより、研究者は異常気象事象のような複雑なシステムを、これまでの AI モデルより高速かつ正確にモデリングすることができます。

NVIDIA はこのテクノロジの 2 つのアプリケーション事例を紹介しています。そのうちの NVIDIA FourCastNet 物理ML モデルは、全世界の気象パターンをエミュレートすることで、ハリケーンのような異常気象事象を、従来の数値予測モデルよりも最大 4 万 5,000 倍の速さで、より正確に予測します。また、Siemens Gamesa Renewable Energy では、AI を使って風力タービンの設計を最適化しています。

NVIDIA のアクセラレーテッド コンピューティング担当バイスプレジデントであるイアン バック (Ian Buck) は、次のように述べています。「データセンター規模の AI を活用したアクセラレーテッド コンピューティングは、気候変動の緩和や創薬、再生可能エネルギーの新資源の発見といった課題に対処するために、数百万倍の性能向上を実現させる可能性を持っています。NVIDIA の AI を活用したサイエンティフィック デジタルツイン向けのフレームワークにより、研究者はこれらの大きな問題を解決するソリューションを追究できるようになります」

NVIDIA Modulus と Omniverse
NVIDIA Modulus は、データと関係する物理法則を考慮に入れた上で、ニューラル ネットワークのトレーニングを行い、デジタルツインの AI サロゲート モデルを作成します。その後、サロゲートはリアルタイムでシステムの新しい動作を推論し、動的でインタラクティブなワークフローを可能にします。Omniverse と組み合わせると、可視化とともに、リアルタイムでインタラクティブな探索が可能になります。

Modulus の最新リリースでは、AI によって関連の偏微分方程式を同時に解くことができるフレームワークであるFourier Neural Operator を用いてデータ主導型のトレーニングが可能になります。さらに、機械学習モデルを、ヨーロッパ中期予報センターの ERA5 データセットのような、気象および天候のデータと組み合わせることも可能です。

Modulus を補完する NVIDIA Omniverse は、リアルタイムの仮想世界シミュレーションおよび 3D デザイン コラボレーションのためのプラットフォームです。NVIDIA Omniverse は、Modulus から出力されるサロゲート モデルを使ったデジタルツインをリアルタイムで可視化し、インタラクティブな探索を可能にします。

NVIDIA FourCastNet
Fourier Neural Operator と Transformer により、10TB の地球システム データでトレーニングされた、NVIDIA FourCastNet物理ML モデルが実現しました。 Omniverse で地球のデジタルツインを作るという、 NVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン フアン (Jensen Huang) が発表したシステムである、Earth-2 に向けての第 1 歩となる FourCastNet は、ハリケーンや大気の川といった異常気象事象の挙動とリスクを、より信頼性高く、最大 4 万 5,000 倍の速度でエミュレートし、予測することが可能です。

NVIDIA のシニア開発者 / テクノロジ サイエンティストのカルティク カシナス (Karthik Kashinath) は、次のように述べています。「デジタルツインにより、研究者および意思決定者は、データを駆使して、従来のモデリング技術では費用と時間がかかるためほぼ不可能だった what-if のシナリオをすばやく掘り下げることができます。Earth-2 の中心となる、NVIDIA の FourCastNet は、全世界の気象の物理とダイナミクスをより速く、より正確にエミュレートすることで、地球のデジタルツインの構築を可能にします」

Siemens Gamesa Renewable Energy
このデジタルツイン プラットフォームは、Siemens Gamesa Renewable Energy の風力タービンが備え付けられている、風力発電所のレイアウトについてのシミュレーション研究も加速させており、AI を使うことでさまざまな気象シナリオでタービンの配置場所がパフォーマンスにもたらす影響を正確にモデリングすることが初めて可能になりました。これにより、風力発電所のレイアウトが最適化され、従来の設計よりも最大で 20% 高い発電量を実現することが期待されています。

Siemens Gamesa の海洋デジタル ポートフォリオ マネージャーのセルヒオ ドミンゲス (Sergio Dominguez) 氏は、次のように話しています。「Siemens Gamesa と NVIDIA の連携は、計算流体力学のような複雑な分野での演算速度と最新のアルゴリズム開発の展開速度を加速させるために大きな役割を果たしており、将来の強固な関係のための基盤となっています」

NVIDIA のサイエンティフィック コンピューティング用デジタルツイン プラットフォームについての詳細については、ジェンスン フアンの GTC 2022 基調講演のリプレイをご覧ください。 GTC 2022 に無料で登録し、NVIDIAおよび業界のリーダーによるセッションに参加してください。

NVIDIA について
1999 年における NVIDIA (NASDAQ表示: NVDA) による GPU の発明は、PC ゲーミング市場の成長に爆発的な拍車をかけ、現代のコンピューター グラフィックス、ハイパフォーマンス コンピューティング、そして人工知能 (AI) を再定義しました。NVIDIA のアクセラレーテッド コンピューティングと AI における先駆的な取り組みは、輸送、ヘルスケア、製造業などの数兆ドル規模の産業を再構築し、その他のさまざまな産業の拡大も加速させています。
詳細は、こちらのリンクから:https://nvidianews.nvidia.com/