NVIDIA DLSS 2.0: AI レンダリングの大きな飛躍

執筆者: Andrew Burnes 投稿日: 2020年3月23日 | Featured Stories GeForce RTX GPUs NVIDIA DLSS NVIDIA RTX

ゲーム内の 物理現象アニメーション シミュレーションから、リアルタイムレンダリングや AI を利用した配信機能まで、人工知能はゲームに革命を起こしています。ディープラーニング スーパー サンプリング (DLSS) は、AI ベースの超解像度によってリアルタイム レンダリングを再定義するために着手されました。より少ないピクセル数でレンダリングを行い、AI を使用して鮮明で高解像度の画像を構築します。最新の DLSS 2.0 では、はこの理想像に向けて大きく前進しました。

Tensor コア と呼ばれる GeForce RTX GPU の専用 AI プロセッサを動力とする DLSS 2.0 は、新しく改良されたディープラーニング ニューラル ネットワークで、フレーム レートを向上させながら、美しく鮮明なゲーム映像を作り出します。ゲーマーにとっては性能が向上することになり、レイ トレーシング設定を最大化したり、出力される解像度を上げたりできます。

DLSS 2.0 では、最初のバージョンに比べ、大きな改良点がいくつかあります。

  • より優れた画像 - DLSS 2.0 は、ネイティブ解像度に匹敵する画質を実現しながら、レンダリングするピクセルはわずか 4 分の 1 から半分程度です。新しい時系列フィードバック手法を採用し、細部の画質が鮮明になり、フレーム間の安定性が向上しています。

  • GeForce RTX GPU の種類や解像度を問わず、大きな機能改善 - 新しい AI ネットワークでは、Tensor コアが今までより効率的に使用され、最初のバージョンに比べて 2 倍の速さで実行されます。これによりフレーム レートが上がります。また、有効にできる GPU、設定、解像度に以前は制限がありましたが、それがなくなります。

  • 1 つのネットワークですべてのゲームを - 最初のバージョンの DLSS では、新しいゲームごとに AI ネットワークをトレーニングする必要がありました。DLSS 2.0 では、ゲーム固有ではないコンテンツを利用してトレーニングします。汎用的なネットワークはあらゆるゲームで動作します。つまり、短期間でゲームに組み込めるので、結果的に DLSS ゲームが増えます。

  • カスタマイズ可能なオプション - DLSS 2.0 からは、「Quality」、「Balanced」、「Performance」という 3 つの画質モードをユーザーが選択できます。これはゲーム内のレンダリング解像度を制御するもので、「Performance」モードの場合には最大 4 倍の超解像度が可能です (すなわち、1080p が 4K になります)。つまり、ユーザーにとって選択肢が増え、今まで以上のパフォーマンス アップが得られます。

『Deliver Us the Moon』 - DLSS 2.0 は画質を維持しつつ、パフォーマンスを大幅に上げます。画質が上がることもあります。

NVIDIA DLSS 2.0 は既に『Deliver Us The Moon』と『Wolfenstein: Youngblood』で利用できるほか、本日から『MechWarrior 5: Mercenaries』で利用できます。さらに、3 月 26 日のゲーム パッチで『Control』に対応する予定です。また、Unreal Engine 4 の開発者は現在、DLSS Developer Program を通して DLSS 2.0 を利用できます。世界で最も人気のあるゲーム エンジンの 1 つで開発を加速できます。開発者の方は、こちらで詳細をご覧ください。

DLSS 2.0 - その仕組み

NVIDIA のニューラル グラフィックス フレームワーク NGX を利用する DLSS ディープ ニューラル ネットワークは NVIDIA DGX を搭載したスーパーコンピューターでトレーニングされます。

DLSS 2.0 では、AI ネットワークに主に 2 つの情報が入力されます。

  1. ゲーム エンジンによってレンダリングされた、エイリアスのある低解像度の画像
  2. またゲーム エンジンによってレンダリングされた、同じ画像の低解像度の動きベクトル

動きベクトルは、シーン内の物体がフレーム間でどの方向に移動するか示しています。このベクトルを前フレームの高解像度出力に適用することで、次のフレームを推測できます。過去を使って未来に情報を与えることから、このプロセスを「テンポラル フィードバック (時系列フィードバック)」と呼んでいます。

NVIDIA DLSS 2.0 アーキテクチャ

畳み込みオート エンコーダーと呼ばれる特殊な AI ネットワークが、低解像度の現在のフレームと高解像度の前のフレームを受け取り、現在のフレームの画質を上げる方法をピクセル単位で決定します。

トレーニング プロセスの間、出力された画像が、オフラインでレンダリングされた超高画質 16K の参照画像と比較され、その差がネットワークに返されます。ネットワークはその結果を学習し、改善します。ネットワークが高画質で高解像度の画像を安定して出力するまで、このプロセスがスーパーコンピューター上で何万回も繰り返されます。

ネットワークのトレーニングが完了すると、NGX は NVIDIA ドライバーまたは OTA アップデートを介して、お使いの GeForce RTX PC またはノート PC に AI モデルを配信します。最大 110 TFOPS の専用 AI パワーを提供する Turing の Tensor コアを利用することで、計算処理要求の高い 3D ゲームと同時に DLSS ネットワークをリアルタイムで実行できます。それは Turing と Tensor コアの登場以前は不可能でした。

DLSS 2.0 の動作

DLSS 2.0 が、どのようにパフォーマンスと画質を向上させるのか、最初にこの技術を導入した 4 つのゲーム『Control」、『 Deliver Us The Moon』、『MechWarrior 5: Mercenaries』、『Wolfenstein: Youngblood』 をそれぞれ見てみましょう。

Control

Remedy Entertainment の『Control』は 2019 年の最高のシングルプレイヤー ゲームの 1 つであると同時に、レイトレーシングを使ったエフェクトを一揃いを導入し、グラフィックスの忠実度を新たな高みに引き上げました。

発売当初の『Control』には前バージョンの DLSS が組み込まれており、画像処理アルゴリズムを利用してフレーム レートを 70% 以上向上させていました。3 月 26 日に、Remedy はストーリーベースの新しい DLC と AI を利用した DLSS 2.0 を追加するアップデートをリリースします。

「当社は『Control』で驚異的な映像と没入感のある世界を創造すべく始動しました」と、Remedy Entertainment のテクノロジ ディレクター、Mika Vehkala 氏は語りました。 「リアルタイム レイ トレーシングと NVIDIA DLSS で『Control』は発売当初から驚異的な映像を誇っていましたが、DLSS 2.0 にアップグレードしたことでゲームの画質が今まで以上に良くなりました」

1920x1080 と 2560x1440 でテストすると、DLSS 2.0 の「Quality」モードでパフォーマンスが最大 76% 上がります。そして 4K (3840x2160) では、「Performance」モードで 2 倍から 3 倍の向上が見られます。GeForce RTX 2060 でゲームをプレイする場合でも、最高設定でプレイ可能なフレーム レートで実行できます。

『Control』で DLSS を最初に導入したときもほとんどのシーンでパフォーマンスが向上し、優れた画質が得られましたが、動きが激しい物体のあるシーンでは難がありました。それに対して DLSS 2.0 では、そのような難しい場面も効果的に処理できます。下のファンが回る画像をご覧ください。

DLSS 2.0 の「Quality」モードを使用し、1080p でキャプチャされた画像

最新版の DLSS では、微細な部分でも画質が向上しています。オリジナルの DLSS から DLSS 2.0 にアップデートして改善された点は、次の画像から確認できます。

DLSS 2.0 の「Quality」モードを使用し、1440p でキャプチャされた画像

エンブレムの文字やその他の細部も同様に改善され、画質と忠実度が向上しています。

DLSS 2.0 の「Quality」モードを使用し、1440p でキャプチャされた画像

また、ポスターや下の地図のようなフラットなテクスチャのゲーム要素も、明瞭度や鮮明度が著しく改善されています。

DLSS 2.0 の「Quality」モードを使用し、1080p でキャプチャされた画像

『Control』で DLSS 2.0 を利用するには、最新の Game Ready ドライバーをダウンロードしてインストールし、3 月 26 日に『Control』の新しいゲーム アップデートをダウンロードしてください。ゲーム内で DLSS を有効にし、ディスプレイ解像度を選択したら「DLSS Rendering Resolution」を選択します。これは他の DLSS 2.0 ゲームの「Quality」、「Balanced」、「Performance」モードに相当します。

Deliver Us The Moon

KeokeN Interactive の宇宙と月をテーマにしたアドベンチャー、『Deliver Us The Moon』には、昨年末レイ トレーシングによるエフェクトと DLSS 2.0 が追加され、美しさとパフォーマンスが向上しました。

「DLSS を有効にして『Deliver Us The Moon』の画質が上がるとは予想していませんでした。しかし、それがまさに私たちが体験したことなのです」と、KeokeN Interactive の CEO 兼ゲーム ディレクター、Koen Deetman 氏は語りました。「これとリアルタイム レイ トレーシングを組み合わせることで DLSS から大きなパフォーマンス アップが得られます。プレイヤーは何も妥協することなく、究極の『Deliver Us The Moon』を体験できます。」

Deliver Us The Moon: NVIDIA DLSS 2.0 を有効、2560x1440 におけるグラフィックス カードごとのパフォーマンス比較グラフ

『Deliver Us The Moon』で NVIDIA DLSS 2.0 を有効にすると、パフォーマンスが 60% 向上

ゲーム全体で、DLSS 2.0 は、『Deliver Us The Moon』に組み込まれているテンポラル アンチエイリアシング手法を活用したネイティブ解像度のゲームプレイに匹敵する画質を実現します。詳しく調べると、DLSS 2.0 では微妙な改善が確認されます。手すりやその他の細部でも忠実度が上がっています。

Deliver Us The Moon: DLSS 2.0 の無効/有効を比較したスクリーンショット画像

DLSS 2.0 による改善がはっきりわかる例が他にもあります。たとえば、複雑なサイクロン フェンスで画質と時間的安定性 (プレイヤーの視線が動く間の鮮明さ) が向上しています。

Deliver Us The Moon: DLSS 2.0 の無効/有効を比較したスクリーンショット画像

また、ゲームの中にコンピューター ディスプレイがたくさん出てきますが、そこに小さな文字が表示されるとき、DLSS 2.0 によって細かい部分まではっきり表示されます。

Deliver Us The Moon: DLSS 2.0 の無効/有効を比較したスクリーンショット画像

MechWarrior 5: Mercenaries

Piranha Games の『MechWarrior 5: Mercenaries』は NVIDIA DLSS 2.0 が追加された最も新しいゲームです。DLSS で強化された他のゲームと同様に、パフォーマンスが飛躍的に改善されています。「Quality」モードの使用時、最大 75% のパフォーマンス アップを記録しました。

「NVIDIA DLSS 2.0 は基本的に、当社のゲームをプレイする人たちにパフォーマンス改善を無料で提供します」と、Piranha Games のプレジデント、Russ Bullock 氏は語ります。「また、NVIDIA の新しい SDK でとても簡単に実装できました。いとも簡単に『MechWarrior 5』に追加できたわけです」

NVIDIA DLSS 2.0 では、画質もさまざまなケースで改善されています。下の比較は「Quality」モードの使用時、1440p でキャプチャしたものですが、DLSS によって機械の複雑な部品が細部まで鮮明に描かれており、摩耗まで確認できます。さらに、DLSS は、建物の屋上にあるサイクロン フェンスを安定させています。ゲームプレイ中の忠実度が上がります。

この例は「Quality」モード時、1080p でキャプチャしたものですが、DLSS によって、フレーム レートを上げながら、鮮明かつ明瞭な画質を維持しています。納屋の線が細かく描かれていることや穀物畑の忠実度が上がっていることにも注目してください。

そして最後になりますが、「Quality」モードの使用時、1080p でキャプチャされたこの例では、DLSS によって壁の上のガード レールが復元され、壁と門の両側の領域で細部が一層鮮明に描かれています。

Wolfenstein: Youngblood

Bethesda と Machine Games が贈る『Wolfenstein: Youngblood』は Vulkan を採用したゲームの中で初めてレイ トレーシングと DLSS 2.0 が追加されたゲームです。

『Wolfenstein: Youngblood』はゲームを開始した直後から非常にすばらしいパフォーマンスを見せますが、DLSS 2.0 を使うと、さらに速くなります。

「当社のゲームは映像とパフォーマンスの両方で優れていることが非常に重要でした。」と、MachineGames の CTOで『Wolfenstein: Youngblood』の開発者、Jim Kjellin 氏は語りました。「NVIDIA DLSS を加えたことで、最大限のパフォーマンスと驚異的な画質の両方を達成できました」

DLSS は、細部を維持しながら、同時に特定の場所での画質も向上させています。下の例では、画面右側にある格子と中央で建物に取り付けられているパイプが、DLSS 2.0 を有効にしたとき、『Wolfenstein: Youngblood』の最高品質の TAA モードよりも細部まで明瞭に描かれています。

他の場所でも改善がよくわかります。たとえば、2 つ目の比較では、右の建物で細部の描写能力が大幅に上がっています。また、屋上のアンテナが鮮やかに描写され、目で確認でき、シーンの画質が上がっています。

DLSS は学習を続ける

Turing アーキテクチャで NVIDIA はゲームを変えるべく始動しました。そのための手法であり、グラフィックスで大きな飛躍となるのがリアルタイム レイ トレーシングと NVIDIA DLSS です。レイ トレーシングは次世代のリアリズムを持ち込み、そのレイ トレーシングされた驚異的な映像を楽しめるよう、DLSS がフレーム レートを大幅に上げます。

NVIDIA DLSS 2.0 で NVIDIA は画質とパフォーマンスの大きな飛躍を成し遂げました。しかも同時に、簡単な統合を可能にしているため、ゲーマーがこのテクノロジを楽しめるゲームがますます増えます。また、AI のパワーを活用することで DLSS ネットワークは徐々に成長を続け、改善されていきます。

今週にも皆様が『MechWarrior 5』と『Control』で NVIDIA の最新の成果をお試しいただければ幸いです。GeForce.com を定期的にチェックしてください。今後予定している DLSS 対応ゲームや進展などのニュースをお届けしています。

* この記事は 2020 年 3 月 26 日に再構成の上、公開されました。

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